立筮にかかる前には、口を漱いで手を洗い、静かな部屋で正座して問題に集中する。
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筮筒に筮竹を立てて一礼したのち、筮竹を左手に取ってその中から2本を筮筒にもどす。
筮竹は50本が1セットだから実際に使うのは48本になる。どの本筮易の本にも49本を使うと書いてあるが、48本を用いるのが真勢流
の面目躍如の独自性である。
両手で筮竹を持ったら、瞬間的に瞑想に入って クラリと「空」に落ちていく。
息を大きく吐き出すと同時に、筮竹の束の中央部分を右手の親指でサクッとねじる感じで両手に取りわける。
右手に取った筮竹はいったん「ろく」の右端に置く。この中から1本を取りだして「けい」の右端に移す。
左手に残った筮竹を、右手で4本ずつ払っていくと、左手には最後の4本か、それ以下の数の筮竹が残る。この数本を「けい」の右端に置く。ここには先ほどの1本があるので、合計は2〜5本の4通りになるはずだ。
右手に持った筮竹は「ろく」の左側に置く。(現在、両手が空いた状態)
ここで、「けい」にある筮竹の数が2本または3本になった場合は、最初に「ろく」の右側に休ませてあった筮竹の中から2本または1本を取りだして合計で4本にする。
4本か5本になった場合は合計で8本にする。
「けい」にある筮竹が最終的に4本になった場合は陽で、8本になったら陰とする。これで一変(3本一組)が終了したことになる。文章で書くと難しいようだが、あとはこれを繰り返すだけなので諦めてはいけない。神意を聞くための手続きとして、そう面倒な負担とは感じられない。
最
初
に
置
く
1
本
|
|
左
手
に
残
っ
た
数
|
|
持
っ
て
く
る
本
数
|
|
合
計
本
数
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結
果
|
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+
|
|
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+
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‖
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=
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‖‖
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(陽) |
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+
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‖
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+
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|
|
=
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‖‖
|
(陽) |
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+
|
‖|
|
+
|
‖‖
|
=
|
‖‖‖‖
|
(陰) |
|
|
+
|
‖‖
|
+
|
‖|
|
=
|
‖‖‖‖
|
(陰) |
けいやろくはなくてもいい。ただなにかに置けばすむことだ。
真勢流以外の本筮易ではあまり「ろく」を使用しない。ろくとは指の股のことで、最初の1本は左手の小指に挟んでおくことが多いようだ。「けい」を「格台」と呼ぶ人もいる。
ここでおさらいをすると、
1:先に1本を取り置く
2:それに4本づつ払ったのこりをプラスする
3:さくっと右手に分けた中からさらに追加を持ってくる。陰陽の出現率が均等になるよう、1本と2本のときは合計で4本に、3本と4本のときは8本にするのがオキテである。
ほかのどの本筮易も全部で5本か、9本にするのが常であるが、真勢流だけが合計を4本と8本にする。
ここで改めて、ろくの両方においてある筮竹を全部左手に持つ。40本か44本になっているはずだ。心を無心にしてこれをふたつの束にわける。手順は先ほどと同じである。
右手の分をろくの右側において、忘れずに1本をとりだし、今度はけいの真ん中に置く。右側の刻には4本または8本の筮竹がある。左手に残った筮竹を4本ずつ右手に移してていく。残った1〜4本をけいの中央に置き、ろくの右側から筮竹を持ってきて4本または8本になるようにする。もし左手に4本が残った場合は、4本もってきて8本にする。これで2変目ができた。使える筮竹は32〜40本にまで減っている。
また同じようにして3変目にとりかかる。
3変目が終わったら算木の地文の下(手前)から順に陰陽を記録していく。けいの右から4本・8本・8本と並んでいれば算木はとなり、これで震の基卦を得たことになる。
筮筒に立ててある2本はそのままに、もう一度48本全部をつかって、以上の手順を最初から繰り返すと、二つ目の基卦(上卦)が得られる。最初の基卦(下卦)と併せて地文の爻卦が完成する。
同じようにして人文と天文を完成させねばならない。(3+3)×3回=18。つごう18変が必要になる。慣れないうちは一時間ほどかかるだろう。「空」に向かう集中力を維持して忘我の状態を続けるのが大変だ。依頼者がいる場合はとくに気が散りやすい。覚醒状態と瞑想状態の両方を長く維持するテクニックが求められる。
筮竹をさばくのは、ある程度スムースにできるようになるまで練習しておきたい。
最初の3桁を出す作業の繰り返しだから、そんなに面倒ではないが、数え損なったりすると精神集中が乱れてよくない。練習の段階では自分の問題を扱うか、なくしてもいい友人の問題か、または親しい友人のあまり重要でない問題を観させてもらうといい。
終わったら一礼して筮竹を「とく」にかえす。このときに瞑想から抜け出して常態にもどる。機械的に展開したあとは推理力の出番で、筮竹を使うのは6組の基卦(=3組の爻卦)をだすときだけである。
この6組から6桁でできた本卦を導きだし、本卦を分析するために主爻・互卦・伏卦をだす。
さらに、爻卦の一番上の基卦(天文の上卦)と一番下の基卦(地文の下卦)から、「天地」という卦をだして判断の参考にする。
これらの一連の作業には之卦用の算木を流用してもいい。
念入りに立筮する方法はたくさんあるが、いたずらに複雑になって判断を難しくするだけである。卦を頭の中だけで展開して判断するには熟練が必要なので、算木を使ったとしてもすべて紙に記録していく。あとはそれぞれの爻卦の解説を読みながら解釈をピックアップしていくだけである。
明治四十四年発行の谷川龍山著「易象大林」には易を立てる前の心得として、
「斎戒は沐浴して新衣を著し、蓍室に静座し、視聴言動苟くも不正の処為なし、醜猥葷酒を禁じ、内外清浄にす可し、常に元亨利貞を唱え、易経を読み、神道中臣祓、六根清浄の祈祷其任意に読誦し、専ら内観を修め、心の垢穢を洗うことを務む」とある。
もし、自分のことではなく、他人のことを占う場合は、依頼者と世間話でもして緊張をとっておく。
人物像も把握できて究理がすんだら、
「天地神明、われ請い願わくば以下のことを明らかに告げたまえ」
「本日平成何年何月何日。何年何月何日生まれ、姓名何某の質問。この不況下、生活もままなりません。もう嫌になったので、バカ会社を辞めて、家屋敷を売った金で田舎暮らしをしようかと考えています。売りに出してもよろしいでしょうか。易の神様お教え願います」といったように具体的に念じる。人前で声を出すのに抵抗があるなら心の中で唱えるだけでいい。もし負担でなければ、筮竹を4本づつ数えるときにも春夏秋冬と唱えていく。
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