2010年3月1日は月曜日なので、前日の日曜日から五家荘の山女魚荘さんに向かった。途中で食料なんぞ買い込みながらのんびりとドライブする。いいお天気だ。
極秘ポイントに向かう途中に祖母山が一望できる絶景ポイントがある。
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山女魚荘の夕食。右下以外の3枚が全部夕食のコース。右下の朝食付き一泊7,000円と格安である。 |
山菜の天ぷら。左はタラの芽だけど、右の紺色は何だと思う?なんと藤の花だよ。初めて食べた! |
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シカ肉の薫製と自家製ヤマメの塩焼き。お酒も近所の人の手作りドブロクだ。美味しいっっ!! |
朝食も立派だ。ぼくたちは朝の釣りが終わってから出してもらった。済みませんです。 |
朝まだ暗くてライトなしでは歩けないような時間から川に降りた。川を照らさないよう、後ろを向いて仕掛けをセットし、苦労してエサをつける。エサは前日から買ってあるブドウ虫だ。昨年、この川での成績がよかったブドウ虫だが、お店がシーズン前に仕入れたやつなのでクタっと弱っていて喰いそうにない。全然釣れない・・・・。しまったポイントの選択を失敗したかも・・・・。
仕掛けを打ち返すことしばし、やっと1匹が釣れたが、鈎を呑み込まれている。鈎外しでは取れなかったのでラインを切ってキープし、暗い中でなんとか新しい鈎を結びつける。ようやく目印が見えるほどの明るさになったらポツポツと釣れ始めたが、ことごとく呑み込まれてしまう。
水温が低くて喰いがよくないのでアタリがあってもなかなかフッキングしない。それで早アワセせずにじっくり喰わせているのだ。10匹のうち8匹に呑み込まれるのだから効率がわるい。鈎外しがヘタなのですっかり諦めて糸を切る。鈎を結ぶのに苦労する。0.4号の糸がどんどん短くなる。
夜が明けて周囲もよく見えるようになり、ヤマメの活性も上がったはずなのに、全部に呑み込まれる。まだまだ早合わせではフッキングしない。
そこそこの良型が釣れる状況になったけど、1匹釣り上げるのに大変な労力を要する。 鈎が服に引っかかって、やっと外して川に放り込んでから、しばらく喰いが止まった。やれやれ一休みだ。でもあまりに釣れないのでフト気がついて鈎を点検してみると、ほうらね。針先が内側に曲がってしまってこれでは喰うワケがない。気を取り直してまた結び換える。パーツ入れから鈎がどんどん減っていく。
でもなんとか数も型も揃えることができたようだ。ビクがマジで重くなってきた。糸を結ぶのに精神が疲労してきた。上流にポイントがあったのでツレの達っちゃんに譲ると、しっかり良型を釣り上げた。23〜24cmはあるだろう。その次のポイントにやってきた。それが左下の写真だ。じゃここはオレがやるね。
達っちゃんは岩に寄りかかって休憩だ。いい深さなので10回ほど打ち返したけどアタリがない。ダメかと思った次の瞬間!仕掛けがグインと引き込まれた。重いっ。竿を立てる。大きな魚体が反転するのが見える!大物だ!一瞬で体中にアドレナリンが噴出す。バレないように引き寄せ川原の小石の上にズル上げる。獲った!と思ったとたんに糸が高切れした!すばやく竿を放りすててサカナに駆け寄り石の上に跳ね上げる!でかい!やったやった!
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うしろのポイントから31cmが釣れた。突然の重い引き!デカイ魚影が見える!この一瞬の勝負のために渓流師は竿を振り続けるのだ。 |
この堰堤で川は終わりだ。ツレの達っちゃんがこのポイントで2匹釣り上げて試合終了となった。釣りやすくて魚影の濃い、いい川だった。 |
美しい魚体だ。活きているうちに写真に納める。メジャーをあててみると31cmあった。
数年ぶりの尺モノだ。素直に嬉しい。何も考えず本能でサカナと戦っている無我の一瞬。なにがあったのか思い返すこともできない。濃密だけど空白の数秒間。
五家荘や椎葉村に住む釣り人でも一生尺モノに出会えないままの人がいる。20数センチの良型と数年に1匹の尺オーバーとでは価値が違うのだ。 |