トランクに収まる自転車「タイレル IVE」

4ドアセダン

 普通の4ドアセダンだ。
この撮影のために、わざわざ洗車してきた。


トランク

 リアビューはこんな感じ。
トランク内の高さは実測で54cm。

 

トランク内部

 ジャーン!中には折りたたみ自転車が入ってる。 ここは大観峰。 日本一景色のいい阿蘇外輪山のミルクロードを 全力サイクリングするために持ってきたのだ。

「持ってきた」と書いたけど、正確にいうと住んでいる。 自宅のマンションにエレベータがないうえ、階段が狭くて持って上がるのが大変なので、トランクの中に常駐させている。つまりトランクが駐輪場なのである。

普通の折りたたみ自転車は最低でも65cmくらいの高さがあって、このクルマのトランクには収まらない。タイレルIVEはカタログ値 59cmだけどサドルを外せば54cm以下になる。

 

EVE

 トランクの中にいたのはタイレルIVE という自転車だ。 折りたたんだときの高さをセーブするためにリアのドロヨケは取り外してある。

 

 もうひとつの工夫がコレ。
後輪を折りたたんだときにコロがすためのキャスターを3cmカサ上げしてある。カサ上げ用のアルミパイプはミスミでオーダーして作ってもらった。送料込み2本で432円だ。安いぞ。

 タイレルIVEにはスタンドがないから、リアフレームをクルリと折りたたんで駐輪する。そのときにこのキャスターが接地するのだけど、意外な弱点があった。アスファルトに少しでも勾配があると、あれよあれよとコロがって行ってしまうのだ。

 

 トランク内の高さは54cm。シートチューブの高さは余裕でOKだけど、フロントは56cmくらいあってトランクに入らない。 ところが後ろのローラーを高くすると、タイヤを支点にしてコチラを上げればアチラが下がる、いわゆるシーソーの原理でフロントが低くなるのだ。

 

 ハンドルはショートブルホーンに取り替えた。手首の向きはヨコよりタテのほうが素直だし、ハンドルポジションに余裕ができる。ただ、レバー類が多いので幅380mmだとちょっと狭かったな。

 せっかくこの世に生まれた ブレーキレバー2本とシフター、それに後輪折りたたみレバーの計4本を無駄にしないためには オリジナルと同じ直径22.2mmのハンドルを探すしかない。 ブレーキレバーは代替品があるだろうけど折りたたみ用レバーはないべや。
 適合ブルホーンは数種類あったけど、日東以外だと曲がった部分を通らないみたいだし、ひどいのは塗装がパリパリ剥げるらしい。

 

 ブルホーンのツノの部分を握ったときに、ブレーキレバーに手が届かないから、自作のレバーを取り付けてギドネットに加工した。タイレルIVEはVブレーキで、Vブレーキに対応しているギドネットレバーは市販されてないからだ。

 ギドネットは引き代が短いのでVブレーキが使えない! 
 ショートVブレーキに換装すればいい →
 それでは開きが少ないためタイヤが外れない →

標準のレバーにセーフティレバーを取り付けてなんちゃってギドネットにすればすべて丸く収まる。アルミ製の本物のセーフティレバーは持っているけど強度の問題があったので、ホームセンターで売っている角型のUボルトを加工した。

 この自作ギドネットの使い心地がものすごくいい。角度とかも現物合わせで結構まじめに調整して作ったからね。 ふんふん、なんてナイスなオレ。

人差指&中指でもいいけど、親指で内側から引くこともできる。問題なくよく効くよ。 

延長ハンドル

オリジナルのままのブルホーンでしばらく走ったけど、ハンドルが短くて窮屈なうえ、手の収まりがよくないので延長バーを取り付けた。
手に吸い付くようないいカーブだ。これで使い心地が格段に良くなった。
市販のバーエンドバーを探したけど向きが90°違うし、手を乗せる部分が短くなってしまう。 そこで考えたわけだよ。

 

B263

左がオリジナルのニットーB263。巾380mmのブラックだ。φ22.2mmっていうのはパイプの規格だから、ホームセンターで売っている水道配管用のエルボーがピッタリ。一個68円だった。2個1セットで136円ナリ。これを白く塗装してハメ込むだけだ。

ふふ。 ブルホーン用バーエンドバー。 エンドキャップと缶スプレーを含めても2000円以下だよ。 みんなマネしていいからね。

 

 最後のカスタムがこれだ。

 ハンドルとフォークの折りたたみ機構に干渉するため、カゴの高さは14cmくらいじゃないと取り付けできない。 女性雑貨のフランフランにいいサイズのカゴがあったから迷わずに買って取り付けた。

 前カゴの便利さは絶大だ。 ウェストバックでも盗難防止ワイヤーでも何でも放り込める。 とくにカスクがピタリと収納できるのは助かった。
この便利さを知ると、ロードバイクってのはじつにストイックな乗り物だとわかる。

 あるとき、このカゴにクーラーボックスがピタリと入ることを発見した。  これはスゴイ!

 たとえば南小国からミルクロード経由で竹田市まで行くルートだと60km以上もの間、コンビニがない。 たとえ炎天下といえど、クーラーさえあれば冷た〜いドリンクが飲めるのだ。 氷はスーパーでドリンクを買ったときにビニール袋2個くらいもらってくる。 溶けた水は頭からかぶればいい。

 もちろん弱点もある。
ミッフィーのクーラーなんて積んで走っていると どうしてもまともなサイクリストには見えない。 出会うロードの人たちから挨拶をして貰えないのだった。


タイレルIVEは、折りたたんだときの幅(厚さ)はあまり小さくないものの、高さはかなり低くできる。トランクに入れて信号の多い街中をやりすごし、走りやすい郊外でサイクリングするのに適した自転車だ。

トランクに収まるサイズの折りたたみバイクは他にもあったけど、ダイヤモンドフレームのタイレルIVEにした。一本フレームだと、たとえBD-1であれ、ターンであれ、世間様はひとまとめにママチャリとみなすのだ。(オーナーの人にはムゴイけどホントの話だ)

小径車だからハンドリングのクイックさに違和感が残るのは仕方ない。両手放しどころか片手放しでも危険なくらいだけど、フレームの剛性感はハンパない。タイレルの営業さんに聞いたら、60km/hでダウンヒル可能なフォールディング ミニベロはこのタイレルIVE以外にないという。ちょっとした坂があれば50kmくらいカンタンに出てしまうのでこれは重要だ。

タイヤも太いからあまり段差に気を使わずに済む。前傾姿勢でガンガン走るのには向いてないけど、ぼくみたいにランドナーっぽい乗り方を好むオジサンにはいい自転車だとおもう。


 ではここで、タイレルIVEの折りたたみ方を レクチャー。

1:停車する前に、チェーンを9段あるスプロケットの真ん中くらいに持ってくる。ほかの位置だと後輪を折りたたんだときにチェーンラインが無理に曲がってしまうのだ。 シフターのインジケータを見ればいいんだけど、ブルホーンのカーブを通らなかったために分解したら、その後遺症で針がズレてしまった。後ろを振り向いて目視するしかない。

2:左側のペダルを回転させてコロコロキャスターの位置に合わせる。1時の位置だよ。

3:左手でハンドルの赤いレバーを押しながら自転車を高く持ち上げて、右足で後輪に大外刈りをかけて折りたたむ。これが一仕事なんだ。

4:前輪をすこし右方向に曲げ、 Fフォークのロックピンを抜いて、置き忘れしないところにキープ。

5: Fフォークを固定しているネジをクルクルクルクルと回してロックを解除。あまり回すと分解してしまう。

7: 前輪を手前側に折り返して、Fフォークをリアエンドに取り付けられたホルダーの上に乗せる。 この段階でやっと後輪と前輪の位置関係が決定されて、シートを下げることが可能になる。
Fフォークをホルダーにセットするまで後輪はグニグニ動いて安定しないし、シートポストを下げることはできない。 シートポストを下げないと、タイヤがロックされないから持ち上げることはできない。 このことを理解するのに時間がかかった。

8: Fフォークのロックピンを元の穴にさす。ハンドルポストの安全ピンを押しながらレバーを起こしてロックを解除。ハンドルを手前側に大きく折りたたんで固定ピンにロックする。

シートポストのクイックを緩め、力を込めてシートをグイグイグイと押しさげる。これでついに完了だ。

いやぁー、慣れないうちはすんげぇ手間がかかるもんですよ。

ネットではこれをカンタンだと言う意見が多い。でもそんなことを書いているのはすべて自転車屋さんのブログなので なんとなくビジネスのニオイがする。だってフレームの真ん中をレバー1本で横方向に折りたたむ方がよほどカンタンでしょうよ。

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