タイレルIVEをカプレオで高速化


エンド巾120mmなのに135mmのカプレオを取付けられるか

 タイレルIVEはフロント53T、リアは11-30Tである。
20インチ車なら普通のギア比だが18インチでこれは低速すぎる。クランク一回転で進む距離は6.46mに過ぎない。トップスピードが全然足らない。

 下り坂での惰性を活かして次の登りを乗り越えようと、スピードがのっているうちにペダルを踏むのだが脚がスカスカッと空回りしてしまう。

 体に染み付いている「回転数=スピード」の感覚と一致しないのだ。 なんとかしなければ・・・


 最初はフロントダブル化を考えたのだけど構造上どう考えても不可能だった。

ではせめて現在のF53Tを58〜60Tにしようっと!

 ところが、

 フレームに干渉するため、取り付けれるのは56Tまでだった。 56Tでは1回転で進む距離は6.82mまでしか上がらない。 たった5%くらい高速化して何の意味があろうか。

 やはりカセットをカプレオ(9-26T)に取り換えるしかない。
アルフィーネやフロント内装のスピードドライブは踏んだときの感じが重いうえにコストがかかりすぎるからアウトだ。

 自転車屋さんは言う。
カプレオのカセットには専用ハブとフリーが必要である。 ハブの穴数に合わせてリムも換える必要がある。トップギアが小さいのでリアディレーラーもカプレオが必要だし、それに合わせてシフターも換えるべきだと。

 でも、一番の問題はカプレオのエンド巾135mmに対してIVEは120mmしかない事だ。ぼくは心の底でタイレル社を罵倒した。 拡張性ゼロではないか!


 ところが、やればなんとかなるのですね。

  ヤフオクで18インチカプレオの完組ホイールを手に入れ、リムのセンターをキコキコと7.5mmも動かして 120mm巾のエンドにセットしたのである。
ちゃーんとグリスアップしてロックナットもガチッと効かしてある。

 ぼくはケチで心の狭いリアルなオジサンだから詳しいことは教えないけど、カプレオのハブはスペーサーを抜くだけで123mmまで短くできるのだ。 まったくナーンダって話だよ。

 

 嬉しいことにディレーラーもシフターもそのままで使えた。

 今回の改造は、もとのカセットが9段で、カプレオも9段。シフターも9段用だからうまくいったのかしら。 たぶん、ディレーラーのSORAのキャパシティが37もあって可動域がすんげぇ広いのが良かったと思う。 手で持って動かしてみるとその追随性の高さがわかる。

 チェーンだけは2山分短くした。 トップ11→9になったからチェーンもその分抜いたほうがいいだろうと思ったからだ。( しばらく経って冷静に考えてみたらチェーンがスプロケットにかかっているのは半分だから1山だけでよかったかも)

 でも ほかは何の調整も交換もしなくてOKだった。 かかったコストは完組ホィール2万円と送料数百円、あとは工具代くらい。 お店の人の見積りの半分だ。

 計算ではリア10Tで 7.1m進むはず。
一般的な20インチ451のタイヤは周長が1.55m。 53-11T で7.5m進むから、ひとこぎ7mがスポーツミニベロの目安といってよい。

  トップ9Tを使えば1回転 7.9mである。 追い風・下り坂ならオリジナルの6.46mから20%もスピードアップできる。これを超えるミニベロはめったにない。 もはやロードバイクと勝負できるレベルではないのか?
(向こうも下りだから勝ち目はないけどね)

 

 

 はい。ではどうやって123mmのハブを120mmのエンドに入れたのか?
じつはぼくは心の広いナイスなオジサンなのでここで発表します。

 シャフトを両側からナットで固定する場合、エンドの厚さはあまり必要なくって、強度的にはたぶん4mmくらいあればいいんだけど、クィックの場合はシャフトのネジがエンドの外側に出ないようにする必要があって、そのためにエンドがずいぶん厚くできている。 ウソだと思ったら自転車屋さんに行って見てごらん。10mmくらいあるから。

 タイレルIVEはじつに感心なことに、スィングアームに形成された鉄製エンドに、さらに厚さを増すためのアルミ製のプレートが取り付けられている。 きわめて丁寧な作り込みだ。エライぞタイレル社。(ホントはアイブエモーション)

 これを外すだけでエンド巾は5.7mm広がって125.7mmになる。123mmのハブより2.7mm広くなった分はワッシャーをかますだけでもいいけど、それではプレートを外した後の穴がポコポコ3個も見えてアレなんで、オリジナルのプレートと同じ形の鉄板プレートで置き換えた。

 ステンやアルミ板にはいい規格がないけど、鉄板なら2.6mm厚があるからネットで加工してもらうだけだ。 計算では0.1mmの差が出るけどそんなの誤差範囲。気になるなら厚めに塗装すればいい。 ちなみにタイレルIVEのエンド巾は実測119.91mm。 頑丈な作りなので無理に3mmも広げることはできない。

 思ったよりもカンタンにできるから、カプレオ化を考えている人はオソレずにやってみるといいね。

  スポークを馴染ませるために大濠公園のサイクリングロードを10kmほど走ってみたところ、リア10Tのときに理想通りのスピード感が得られた。
 さすがに9Tでは重いタイヤをブン回している感が出てくる。 これは完組ホイールに使われているリムが重いからだ。 選べる自由がなかったので仕方ないけど、逆にいえば、IVEのリムが軽量だったということである。
 

roadbike

大観峰を26.1km走ってみたら 平均速度20.5kmだった。最高速度は49kmである。

道路は広いしクルマは来ないのでもっと出せるのは間違いないけど、気持ちいいダウンヒルを長く楽しむのが目的だからこんなもんだ。

巡航速が上がって惰性が効きだしたので登り坂が半分になったような印象を受けた。小さな丘ならトップで登ってしまう。
前回はヒーハー言いながら30Tで登った坂も、今回はナント23Tが使えた。

下りは常にトップギアの9Tに入れてる感じだ。スピードを落とさずにどんどん走れる。

 カプレオ化大成功である。


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