窮 理

易を立てる前の「窮理」(きゅうり=究理)の方法を簡単に説明させていただきます。


 易はあて物ではありません。また、質問もなしに得られる答えもありません。
そのため易を立てる前には、相談内容を明確にしておくことが必要です。同じ卦が出た場合でも状況によって、どう理解するか判断が違ってくるからです。

相手にインタビューしながら、問題を整理し、テーマを絞り込んでいきます。段階に応じて「易神への質問はこれでいいですか」と確認して、混乱した相手自身の心まで整理していきます。これは「窮理」といって、易をもちいてカウンセリングする以上は、欠かすことのできない作業になります。

1:まず自己紹介をする
ともに問題解決にあたる友人として接するよう、明るい雰囲気で話しに応じます。ここで否定的な表現は使いません。気にしているような事柄には、逆からみたポジティブな光をあてます。
例:子どもにかまってあげれない → それは子どもさんが自立できるためのお手伝いですね
 
2:聞いて分かることは聞く
「黙って座ればピタリとあたる」というのは大道芸者のキャッチです。若い女性の場合は恋愛のことが多いとか、傾向はありますが、個々の事情はすべて違っています。聞いてわかることは聞いたほうが確実だし、聞くことで相手のストレスも蒸発していきます。ところが実際には当てて貰いたい人が多いのも事実です。一目で当てると信頼関係が一気に作れる効果がありますから、ついつい無理をしがちです。でも、誰にでも当てはまる言葉があるから注意してください。
例:身なり次第ですが、中年以上の人に「ご苦労なさいましたね」と言います。苦労していない人などいないので必ず当たります。手に細かいシワの多い人は心を費やしていますから、こんな人には100%的中します。

3:泣かさない
感極まって泣き出す人がいます。そういうときには一言ことわってからそっと席を外してください。「わるいあの人、可哀想な私」という、努力もせずに手に入る場所に逃げ込むお手伝いをしても問題解決にはなりにくいです。なにより
不健康で無責任です。もし興奮しだしたら、こちらの話すスピードをわざとゆっくりにして安定させます。

相談者のうわべの言葉ではなく、本心はどうしたいのかを見抜かないと、実現性の低い方法を提案しかねません。熟練したカウンセラーは相手の言葉ひとつから、彼のあゆんできた人生を推測します。解決に向かって努力する依頼者の、その勇気をくじくのではなく、エンパワメントしつつ解決できる方法を探したいからです。

(以上は、易者というよりも、アドラー派カウンセラーの基本マナーでした。では今度はアドラー心理学に突入してみますね。いいつながりでしょ。以下の「タイプと分類」はアドラー心理学の世界です)

 


タイプと分類

性格は類型化すると判りやすいので、アドラー心理学のいくつかを紹介させていただきます。
(個人にラベルを貼りつけて分類することが目的ではありません。またすべての人がどれかに
当てはまる訳でもなく、いくつか複合して表れることが多いようです)

ゲッター
攻撃依存型。他者は私に奉仕すべき存在。私を保護してくれない者は罰せられて当然と考える。自分の弱さ、能力のなさをアピールして周囲の関心を引く。欲張りでブランド品に目がない。末っ子に多いのが特徴。
ベイビー 消極依存型。未熟な赤ん坊のままでいることが、自分に好都合だと判断した人。ひとりでは何もできない弱さを武器に注目をあび、いつも他人の奉仕をあてにしている。そのため、他人の気持ちに敏感で、人間関係に特別な配慮をする。はっきりとした意思表示を避ける傾向がある。
ドライバー 攻撃競合型。社会生活とは他者との競合であり、自分は常に優越でなければならないという思い込みに支配されている。勝利を得ることにこだわり、たえず頑張るので無為な時間を過ごせない。支配的でその場の中心人物になりたがる。よくしゃべるが心のどこかに空虚感がある。鬱病・心臓病が多い。
コントローラー 静的な消極競合型。失敗しないことにこだわる。失敗しないときだけ自分はOKなのであまり目立つ行動はしない。
プリンス/プリンセス わがままな性格。小皇帝。自分の利害に敏感で、他者の利害には関心がない。自分の得になることだけで頭の中が支配されている。他人をあてにするあまり自立できない。
ビクテム 無実の犠牲者。実際には自分の間違った思想や行動が困った結果を招いているくせに、犠牲者のフリをする人のこと。 自分の言動の責任をとらずに済ませるため、不幸を他人のせいにしたがる。人生には批判的で、いつも運が悪いとぼやいている。
オブザーバー 自分からはあまり行動しない観察者。冷静な論評とユーモアが周囲の人を楽しませる。よけいな仕事と責任から逃れるのに便利な行動様式。
エキサイトメントシーカー わくわくすることが好きで、いつも興奮していないと人生の目標を失ってしまう。理想は高いが、竜頭蛇尾で終わることが多い。
パーフェクショニスト 完全癖が強く、完全無欠でないと自分の存在価値が揺らいでしまう。時間を正確に守るなど、生活の各部にこだわりがあり、距離を置いた人間関係を好む。感情的を内向きにコントロールするので胃を悪くする人が多い。
 

逆に、失敗することで注目を集めるのがシュレミール。
人前で感情を表すことをおそれるフィーリングアボイダー。
他人に好かれるために努力するプリーザー。
勝ち負けにこだわるギャンブラー。
正義の味方を演じるフレンドオブジャスティス。
支配者になりたがるルーラー。
通常の言動では人気者になれないと思いこんだイタズラ者のトリックスター。
同じく天の邪鬼のアギナー。などなど。