ワイド派待望! マニュアルズームのデジカメ P880
グリップの金属部分はクイックスタートではなくてただの飾りだった

ちょっとクセのあるデザインだけど、このカメラはレンズが命だ。普通は傷のつきやすい前玉だけがガラスで、あとはコストの安いプラスチックのモールドを使う。しかしP880は、今どきウレシイ全ガラスレンズ。13枚のうち2枚が非球面で、作ったのはドイツのシュナイダーだ。ビューカメラをかじった者なら誰でも知っているあのスーパーアンギュロンのメーカーである。
ズームは広角24mmから、すごいことに望遠側がなんと140mmまで使える。10万円のcoolpix8400でも24-85mmしかないし、これ以上の望遠は必要ない。デカくなるし暗くなるし、800万画素もあるなら周辺部をトリミングした方が画質もいいはずだ。単玉5本に相当する範囲をレンズ交換なしのリニアで使えるメリットは大きい。しかもマニュアルで。軽くて安くて使いやすい。電池も長持ち。やっぱズームはこうでなくちゃね。

意外にコンパクトだけど厚みがある

コダックはスタジオユースのデジカメの覇者であり、そのCCDはオリンパスにも供給されている。アメリカでのシェアはソニーやキヤノンを抑えてNo1だ。フィルムは白人女性の白い肌をトバさず、黒人の肌をツブさないディティールの表現力、つまり階調のアシの長さが素晴らしい。デジタルでもコダクロームの、あのディープな空の色を再現してくれるに違いない。

さて実際に使ってみると、たしかにグリップとレンズの間は狭いけど、これは気にならない。むしろギリギリまでコンパクトに作ってくれたことを評価すべきだと思う。
助かるのは、ストロボが手動ポップアップで、閉じている限りは光らないことだ。エライぞコダック。これこそメーカーの見識である。カメラが勝手にストロボを光らせたんじゃ、撮影者の意図が反映されないもの。

 
KODAK P880 24〜140mm 使用感いろいろ
操作感 

コマンドダイヤルのセットがいちいち面倒だという意見があって、それは確かにその通りだけど、あまり気にする必要はないレベルだと思う。好みの補正ならカスタムモードで3種類記憶できる。

ズーム 
現在の望遠志向は、需要の多い子供の運動会のためにメーカーが仕組んだワナである。作りやすいし、ハデなスペックをアピールできるからね。でも日常で135mm以上は、デカくなる上にブレるのであまり出番がない。ポートレートでも80mmを超えると耳が大きく写って不自然になる。
必要なのはヒキのない場所でも写せるワイドだ。24mmあれば室内でも建物でも撮影できるし、50mmの倍の幅の風景を楽しめるのだ。
フォーカス 
明るい場所。止まったモノなら問題ないが、たとえば水槽の中のサカナを写すのはきつい。合焦に1秒くらいかかってしまう。
レンズフード 

取り付け方法が判りにくい。わざわざ別紙の説明書までついているけどそれでも判らない。(サービスに電話する直前でなんとか判ったけど・・)

ストロボ 

なんと言ってもマニュアルポップアップがエライ!広角24mmをちゃんとカバーするし、チャージ時間も全然気にならない。光量補正も1/3ステップで可能だ。さらに外部ストロボが使える。トリガー電圧が銀鉛カメラと同じなので、20年以上も前の汎用オートストロボまで使えた。理想を言えばGN9をもう4〜6くらい上げてくれれば最高。

モニター 
流行の2.5インチ。見え方は普通。
かと思ったが、モニターではアンダーとはいえコントラストもあってよく見えていたのに、いざコンピューターに移したら全然ダメだった。フォトショップで補正できないほどのアンダーである。自分の撮った写真だけはなんとか表示する根性はエライが、それが世間で通じないほど誇張されていては困る。
書き込み時間 

20mb/秒の高速型SDカードを買ったけど、書き込みに時間がかかる。800万画素tiffなんてホント大変だ。500万jpgでも1枚3Mbくらいの容量になるので、AUTOお任せモードのときは300万で使うことにした。それでも1枚8秒かかる。連写モードはAUTOでしか使えないみたいだし・・・

ブレ防止 
ストロボなしのローライト撮影が多いためぜひ欲しかったけど仕方ない。でも基本的に、このタイプのハイエンドデジカメは、一眼レフのように可動部分がないのでブレにくい。慣性重量があるためコンパクトカメラに比べてもブレにくいはずだ。実用画質はISO200までだけど、ま、いいか。
電池 

単三電池も汎用リチウム一次電池も使えないので、スペアには専用充電池をもう一個用意するしかない。パワーゲージは正確で、2/3になってもしばらく、1/3になってからでも何十枚か撮れる。

カメラバッグ 

ファインダーが出っ張っていて相当な厚みがあるので、ちょうどいいカメラバックが見つからない。メバルを釣るときの専用バッグで、プロックスの「根魚人」という防水クリール(ビクのことだよ)がサイズピッタリ。

ファインダー 
出っ張りがすごくジャマ。しばらく使ってみたが、見え具合もあまりよくないし、日射しがつよすぎてモニターが見えないときのほか使うことはない。思い切ってEVFと視度調節機能を取っ払ったほうがいい。
マニュアル 
電源スイッチはセンターがOFFなので操作に気を使う。これはいけません。片一方がONで、もう片一方の端になにか小さなマークがある。そんなに重要な機能なのかと調べてみるがなかなか判らない。じつはこのマークはお気に入り写真のホルダーで、入れるには外部コンピューターと専用ソフトが必要だった。バカ。
マニュアルは英文から直訳したらしく、要領を得ない部分が多い。とくに33ページのファースト連写とラスト連写の説明は必読。完全にポイントを外している。
価格 

本体はコダック配下の旧チノン製ではなくて韓国製だ。オープン価格だけど定価(?)69,800円である。某KMカメラの仕入れ価格表を見せて貰ったら、どれもおおむね一万円乗せだった。だから6万円で買えればまあまあだと思ったけど、ちょこっと価格交渉してみた。(買ったのは05年末) ポイントを使ったけど、判りやすくするため、定価で支払ってモノをサービスという形で計算してみると、

 支払い:カメラ本体 69,800円
 おまけ1:N社製SDカード 512M 8,980円
 おまけ2:保護フィルター52mm 2,350円
 おまけ3:充電池 KLIC-5001 6,300円

つまり、69,800円から17,630円分サービスで本体52,170円ということだ。5年間保証を付けたけどそれは計算外。同じ画角の一眼レフ用ズームレンズの価格である。よしよし。

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