易の母体は四千年ほど前の中国で、伏羲氏によって創られたとされています。
わが国でも神代易として古代から連綿と伝えられ、江戸時代には新井白蛾などの手によって汎く庶民にまで普及しました。しかし、その根本となる「易経」が18変をようする本筮だったにもかかわらず、当時はすでに省略版の略筮が主流となっていました。易が広まったそのときにはもう本筮易は世の中から消え去っていたのです。これを復活したのが2000年にひとりの天才とされる真勢中州(1754〜1816年)でした。
ほかのどの易も四十九本の筮竹を用いるのに対して、真勢流本筮易では四十八本を用います。机上で計算してみましたが、陰陽の出現率を均等にするためには四十八本を使うほうが正しいと判りました。
また、略筮では現在の状態だけしか見れませんが、本筮易では過去から現在・未来へと続く流れが卦面にあらわれ、状況を確認しながらトラブル回避の方法を読みとることが可能になります。
筮竹を扱うだけで新しいチャンネルを開けられるのは、ほとんど盲点にちかい方法だと思われます。ところが、高い的中率を誇るにもかかわらず、またも歴史の淘汰にあい、現在では実際に立筮できる人間は、研究者も含めてごく少数になってしまいました。難解そうに見えて取りつきにくいのは事実ですが、実際に占筮してみるとそんなに難しいものではないと判ります。埋没させるにはあまりにも惜しい学術です。
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