犬・サル・キジとヤマメ釣り
丸いパーマークに注目
ヒミツの支流で在来種
背側に小斑点がない原種

 2005年3月の3連休に日之影渓谷に釣行した。九州有数の人気河川なのだけど、水量は異常とも思えるほど少なく、これではまともな釣りは出来そうにない。川原で焚き火をして夜を過ごし、20日の朝早く秘密の支流に入渓した。本流への落ち込み場所が伏流しているため、だれもその上に川があるとは思わないのだ。
厳しい渓相だけに釣り荒れの少ない川だが、それでもやはり水量は見違えるほど減っていて、たぶん昨年の台風の連続攻撃のせいだ。あちらこちらのガケが崩落していて魚影はきわめて少ない。

 空は雲っていて今にも雨が降りそうだった。たまに釣れるのはちびっ子ばかり。でもそれはすごく貴重な、濁流の中をかろうじて生き残った在来種のちびっ子なのでキープするわけにはいかない。いつのまにか雨が降り出した。
10時に釣り終わった。山道を30分も歩いてキャンプ地に戻り片づけを始めた。撤収したのは11時ごろだったと思う。その頃にはもう雨はやんでいた。上流に向かってクルマを走らせると、付近に民家もない路上にポチが一人で歩いている。

「お〜い。ポチ、なにしているの?」
「ポチ、こんなところで一人ぼっち。捨てられたの?」
パンをやったけど、いつまでも警戒しているのでサヨナラした。

 しばらくクルマを走らせて傾山を越えたところで目の前にキジが走り出た!クルマの直前、たぶん5mくらいの右手から走り出て左の山に駆け上っていった。1mくらいあった。これはいいものを見た。

 クルマを運転しているのは、某大手ロードサービス勤務のY君である。ヤブの中をイノシシよりも早く駆け抜ける野人だ。その彼が、この釣行の出発時に、自分は近道を知っている。こちらの方が絶対に早くつくと言い張り、ついには、なんなら自分が運転するからと主張した。わしらは一応反論したものの、彼の職業柄もあって、最後には任せることになったのだ。
 しかし出発してすぐ最初の標識をこれは違うと断言して、次の道から入ったところが工事中。せっかくのカーナビを無視して大回りに次ぐ大回りを重ね、あまつさえ、これは絶対に違う未舗装の林道にやみくもに奔り込んでくれた。見覚えのある本道に出たとき我々は目を疑った。そこは出発点からすぐ近くの場所だったのだ。もちろんイブニングはフイになった。

 その罰で帰りも運転させられている。
なんだか運転したくなさそうな様子を見せたものの、ワシらが素早く昨夜の残りの焼酎を飲んで対抗したため、やむなくハンドルを握っているのだ。
 そのY君が突然 「猿が出た!」と叫んだ。
見ると、ありゃまぁー!ホントにサルが歩いている。出たのは民家のすぐ近くだ。犬・キジ・サルといえば桃太郎。そうか。あの物語には里山の動物たちが総出演しているんだな。ふむふむ。

 あとで知ったけど、福岡で地震があったのは10時53分頃だったという。
キャンプ地を出る直前のことだ。ワシらはウッカリしているからなにも気がつかなかったけど、犬も、キジも、サルも、ちゃんとした連中はみんな地震に驚いて右往左往していたのだった。
 今回はたまたま時計を見ていたから、動物たちが、すでに発生した地震に驚いたのだと判った。でも、もし、詳しい時間が判らなかったら、動物たちが地震を予知して騒いだと思うかもしれない。だってその方がハナシとしては面白いからね。

 動物が地震を予知するケースはまれではない。最初に小鳥やネズミなどの小動物が逃げ出すらしい。つぎにリスやムジナに異常が見られるようになり、直前になるとブタやシカ、ウマなどの大動物も異変に気がつくという。どちらかというと普段、あまり考えずに行動する小動物のほうが、異変に敏感なのは興味ぶかいことだ。

 大地が崩壊する直前になると、蓄積された歪みで軋(きし)む岩盤からは、うなりのような低周波音や超音波(人間の可聴閾・16〜20000Hz/Sを超える音)が発生する。地の底から湧き上がる土の匂いと、耳に聞こえない異音は、生物に得体の知れない不快感を与える。
 岩石が圧力で壊れるときに発生するピエゾ電子とイオンは、空気中の電荷量を急上昇させる。空気中のイオン量が急変すると、生物のホルモンバランスが異常になって、心拍数が上昇するという。人間には感じ取れなくても、自然に近い動物たちは、異変をキャッチして不安になるのだろう。
 
 現在では動物の生活圏でさえ、送電線やTV電波・携帯電話など人工的な電磁ノイズに汚染されているが、ノイズの少ない地域だと、動物はもっと異常に対して敏感になる。
1976年の中国四川省大地震の前には、ウサギが屋根にのぼった(ハシゴも使わずに!)とか、カメがパニックのあまり金切り声をあげた、という例が伝えられている。

 

 

とにかくTOPページに戻りましょ・・

Y君(右側)の今年最初の獲物はなんと40cmのレインボー!!

さてどちらが犯人Y君でしょう?