祝子川(ほうりがわ)の景色はすごいぞ

 −−これまでのあらすじ−−

リバレイのパンフレットにすごい釣り場が載っていた。
大岩ゴロゴロの、その景色に魅了されたワシラは、いろいろと嗅ぎ回った末、祝子川上流が怪しいという結論を得た。そして04年9月、ついに祝子川に攻め入るも、雨後の激しい水量に圧倒されてすごすごと引き返してしまう。その後、相次いでリベンジに出撃するもことごとく敗退。 ついに4度目の出動となった。ちなみにここは’05年夏の「Fly Fisher」(つり人社)にも紹介されているよ。

 −−ではどうぞ−−

8月27日の夜、現地に到着した。空には無数の星がキラめいている。明日の晴天は間違いない。天気予報もそう言っていた。
全身の力を抜いて晩メシを食っているところに軽のワンボックスがやってきた。近くの民宿のおばちゃんである。なんと、今晩泊まるはずのお客さんが山から帰ってきてないとのこと。遭難したのではないか。聞けば、ここは毎年一人くらいが事故で亡くなるらしい。
しかもあろうことか山女まで出没するそうだ。そうかそんな場所だったのか!

*註:山女(やまおんな。ヤマメではない)は身長約1メートル。ハダカで髪が長く、岩の上をマシラのようにピョンピョンと跳び回る。宮崎県で知らない者はない。

翌朝、登山のおじさんにルートを教わって出発。30分で山小屋につき、さらに30分弱で丸太橋にでるそうだ。その橋から入渓すればいいのだ。では出発。
しかし山に入ってたった10メートルで、どっちに行っていいのか判らなくなり、さっきの登山おじさんに教えてもらう。では再出発。
全部で1時間の行程である。途中はロープありハシゴありでなかなか厳しい。もう着くかなと思って時間を確認するとまだ10分歩いただけである。なんということだ!昨夜ビールで満タンにしたはずのパワーゲージがすでに半分になっている。

通称「丸太橋」。実際は金属製の立派な橋である
竿を置いて雨宿り

ここが↑入渓地点の「丸太橋」。水量は少ないものの素晴らしく透明な水が流れている。

しかし、釣り開始後10分で雨が落ちてきた。 しかたないので雨宿りする。せっかくだから、その間に行動食を補給。その結果!出発たった1.5時間後には食料が尽きたのである。こんなことでは先が思いやられる。


そのうちに小降りになったので釣り再開。大きな岩をよっこらよっこら乗り越えてポイントを拾って歩くが、魚影はうすい。型も小さい。ここはエサ釣りではつらいな。かといってフライでも難しそうだ。

ガツンッと引きがあったものの痛恨のバラシ!

岩はこんなに大きい。乗り越えるのが一苦労。

残念。リリース!

おかしい。エサが見切られている。30cm級の魚影がスッと寄ってきたのに、エサの直前で反転してしまった。水底に置きエサをしてしばらく待ったけど喰うのはアブラメばかり。

「ばかっ!お前たち。ブドウ虫は一匹30円もするんぞ!」叱りつけて放流するもむなし。

←どうです。パーマークが8個しかないでしょ。

   

世界一でかい岩はオーストラリアのエアーズロックということになっているけどホントかしら。この大崩山の表面から木々と大岩を全部取り払って、台風で100年も洗えば、こっちの方が大きいんじゃないかな?一個一万トンの巨岩がごろごろしていて、とにかく遡行に体力を消耗するものだから、4時間も釣ったら心の底から疲れてしまった。食料も尽きた。もうダメかもしれない。

あらためて思ったことだが、渓流釣りはレジャーではなくスポーツに近い。雨でずぶ濡れだ。帰りは2時間くらいかかるだろう。へとへとになったので試合終了。

ここに30cm級がいた!
このゴルジュで遡行困難となり、引き返すことにした。

疲れてヒーヒー泣きながら山道を歩いた。でも中高年のおじさんが背筋をピンと伸ばしてスタコラ追い抜いていくのだから、道が険しいワケではない。ワシラの普段の不摂生と体力不足が原因である。

ここで管理人いけだ疲労のため休息。詳しくは次回更新をまて


なんとか元の場所までたどり着いてみたら、ハンターのおじさんたちがバーベキューをしていて、こっちこいこっちこいと呼んでくれた。
「えっ。いいの?ホントに行くよ」。おじさんたちは、すごく上等のシシ肉をいくらでもごちそうしてくれる。旨くない部分は人にあげて、自家用には最高級の部分をキープしてるのだという。見上げた根性じゃないか。缶ビールとトリ飯もつけてくれた。ワシラはめちゃくちゃ旨いシシ肉を遠慮なく喰って、「おじさんたち、ごちそうさま。また出会ったらまたごちそうしてくださいな」。 「おお。また会ったらまたいっしょに喰おうな」
ごちそうさまです。